オジサマ
さっきまで傍らでいたサラリーマンがいない。
私に話しかけてきたサラリーマン。
笑いながら話していた彼の姿は何処にもいない。
彼は吊られた肉の塊になっていた。
視界を奪われ、行動を抑制されていた。
何かに身体が触れる度に身体をビクつかせ、声をあげていた。
只の肉人形。吊られた肉人形。
このオジサンは、このまま放置されるとどうなるのだろうか。
時間の経過とともに、糞尿を垂れ流してしまうのだろうか。
そうだとしたら、なんて哀れなのだろう。
首も腕も脚も全て南京錠をかけられ、おまけに貴方は吊るされてしまっている。
股間には鎖が通されてしまっている。
ねえ、どう頑張っても逃げられないよ?
オジサマ、貴方はどうやって生きていくの?
オジサマはお尻を突き出す格好に調整され、鞭を打たれ、平手でバシバシ叩かれている。
オジサマ、痛くない?
叩かれる度に低音の呻き声が響く。
オジサマ、貴方はこの無様な格好になっても感じてしまうの?
貴方には理性がないの?
可哀想、本当に可哀想。
可哀想過ぎるから、私がオジサマを触ってあげる。アゴを持ち上げると、オジサマは嬉しそう。顔も見えないけれど、私には分るの。
お口のカバーを外してあげましょう。
うわぁ、オジサマ、顔の下半分が唾液まみれじゃない。口髭にも唾液がテカテカ付いているし、またアゴの下から滴り落ちそうよ?
お口が寂しそうだから、指を入れてあげましょう。3本?4本…?5本全部入れちゃおっか。
嚥下反射でオジサマは咽せる。
咽せて指を外したところで、また涎が溢れてくる。
オジサマはオジサマでなくなったんだね。
そうか、そうか。
それなら肉人形として、私を愛してね。
私も肉人形がずっとずっと欲しかったのよ。
安心してね、もう一切の意思決定をする必要もないわ。
決定権は全て私の中にあるのよ。
幸せでしょ?