fetish hole

18禁の内容です。フェチズムやSMに関するものと心の内面にフォーカスした内容が多いです。

Staring at me

身動きが取れない

息が少し苦しい

たとえ声を上げてもそれはどもりを帯びて

センテンスを相手が理解できるのかは分からない…

というか

なんかもういい

なんかもうどうでもいい

 

「逃げられないですよ?」

分かっている

どこにも行けないことは分かっている

1分、1分ごとに身体から水分が蒸発していく中で

わたしはいつ水分を取れるのだろうか

でも

それすらもどうでもいい

 

「僕はそんなあなたが見てみたいです」

さっきまで普通にご飯を食べていた青年からそんなセリフを

吐かれたっけか

私なんかに興奮するわけない

でも、それすらも知る由もない

だってわたし、見えないもの

 

時々近づく足音で

次に何が行われるのかを

視覚以外で予測しようとする

聴覚と触覚がとても敏感になる…

 

拘束具が身体に食い込む

背伸びをしないと少し苦しいくらいに

ぶらんと下がった私は自分がどんな様子なのかも分からない

 

時々周りの喘ぎ声やら呻き声やら

それらを楽しむ声やら

耳元で囁かれる

「こっちへおいで…」と

声のする方 匂いのする方へ必死へ縋り付こうとする

「ああ残念…繋がれているからいけないね。かわいそうに…」

知っている

分かっている

でもどうもできない

 

どこかのタイミングで身体に触れる数が増えたことに気付く

前と後ろと

少し混乱する…

「…さん、とてもエロイですよ?」

耳元で囁く声はさっきの声とは違う声が聞こえる

 

ごつごつした指に代わり

しっとり汗ばんだ指がわたしの指に絡んでくる

絡み合ってくる

 

終始わたしは喘ぐことしかできない

 

ようやく身体を手枷と足枷にされて楽になったとき

ようやく口も明けられると思ったとき

閉口できないように口枷を嵌められる

以前視界は奪われたまま

 

わたしに触れているのは、もはや誰なのかは分からないし

分かることを止めた

 

引っ張られる方に、わたしは四つん這いでついていく

重厚な音を轟かせ、ゆっくり歩く

 

マスクの上から頭を撫でられる

口の中に舌が入ってくる

柔らかい舌が

上手く舌を絡ませられずに

必死で舌を捕まえようとする

誰の舌なのだろう…?

 

指を滑らせ

乳首を触る

少し柔らかい指先

 

気持ちよくて悶えてしまう

屈みこんでしまう

 

顎を持ち上げられ

またキスをされる

「もっと大きな声を出して。もっと聞きたい。」

 

ーあ、青年の声だ

 

無意識に身体が震える

頭の意識が飛ぶ

 

繰り返される行為

 

私は何も見えない

どんな風に見ているのかも分からないし

知る手立てもない

 

でもきっと悶えるわたしを見ているのであろう

青年は何を考えているのかも分からない

唯一分かったことは

その青年はその状況を楽しんでいたということ

さっき少しばかり話しただけなのに

 

ああでも

そんなことすらどうでもいい

考えてもどうにもならない