1枚のかわ
その手でマスクを被せられたとき、自分の心臓の音が早くなるのが分かる
ジッパーで締め上げていくとき、ようやく私は我慢から解放される
もう相手の視線もも言動も気にしなくていいの
だって私は見えないんだもの
そして、私は相手の思い通りのお人形になる
完全なる視界遮断
1枚の素材を挟み、聴覚も鈍くなる
僅かな鼻部分に開けられた穴から必死で酸素を取り込む
指が身体に触れる
身体に電気が走る
いつもより数倍の快楽物質が脳からジュバッと溢れ出す
グレープフルーツを握りしめたときのように
果汁が飛び散るように
脳はもう快楽の言いなり
automatic modeへスイッチする
気持ち良すぎて
気持ち良すぎて
アーとかウーとか
そんな簡単な発生しか言えなくなる
むずかしいにほんごなんかわからない
そんなながいことばをいわないで
あ ごめんなさい ごめんなさい
いえないんです
いまのわたしにはながいにほんごはむずかしいんです
ああきもちがいいんです
ごめんなさい
とてもきもちがいいんです
だから あなたのまえでセイキをこすってもいいですか
きょかもないのに
こすりだしてごめんなさい
でも だって すごく きもちがいいんです
そして わたしは このすがたを あなたにみてもらいたいんです