僕の変身願望②~無表情な有機体~
女の子になりたいけれども、それはとてもおこがましい。
だからと言ってゲイな訳ではない。
女王様の言うことを聞きたいか、鞭や蝋燭は興味がない。
せめて、せめて男性性を無くしたい。
…そんな人達はいないものだろうか…??
誰かのリツイートで、とあるサンプルムービーを目の当たりにする。
のっぺらぼうの女性が、のっぺらぼうの男性に責められている。
縛られて、電マを当てられて…とても気持ちよさそうだし、何より美しい。
そしてそれは、この世界を全く知らない僕でも「僕」で無くなる気がした。
なんだかよく分からない高揚感が出てきて、僕はその女優さんになったつもりでいた。
ハイヒールを履いたタイツ姿の僕は、縛られて、身動きが取れないまま、敏感なところへ電マを当てられる…僕は気が付くと射精していた…。
そのサンプルムービーを調べていくと、それは「ゼンタイ」というらしい。
フルオーダーやオークションサイト等割とよく知られているもののようだ(単に僕が知らなかっただけ…)。
よく分からないし、少し安価なものから、ブランドと思しきものを購入する。
物は僕が仕事で忙しいウィークデーを過ごしている間に到着した。
物流が豊かな日本に生まれたことを感謝しつつ、ブランドと思しきもののゼンタイに腕を通す。
ピタッと張り付き、身体が新たな皮膚を纏うような感覚…生地が吸い付く感覚。
「僕が昔お母さんのストッキングを履いたのと同じ感覚だ…」
しわやヨレを直しながら、どんどんと生地を覆っていく。
だんだん僕は違う生き物になっていく感覚だ。
真っ青なタイツの人間が鏡の前にいる。
顔は僕のままだけれど…。
でも、でも、自分で言うのもなんだけれど、そこにはすね毛も腋毛も存在していなくて、性を感じさせるものはペニスくらいなもの。
そしてそのペニスでさえも、くっきり浮き上がり、如何わしいというよりは、一種の造形美のような気さえする。
何より、着ているだけで気持ちい良いのだ。
あー、こんなものであのAVは撮影されていたのか。
何という世界なのだろうか…。
僕は足をクロスさせ、内股にしながら腿を擦り合わせる。
「あっ…これはだめなやつだ」
指先で乳首に触れてみる…。
タイツ生地に覆われた乳首を、生地で覆われた指先がそっと触れる。
「気持ちいい…」
自分のアソコが固くなっていくのが分かる。
ああいけない、僕は自慰目的ではないのだ。
とにかく僕はまず変身をしないといけない。
そして、その変身した姿を見ることが目的なのだ。
勃起したまま、僕は頭をすっぽり覆う。
うっすら視界は見えるが、ほぼ見えない。
予め決めていた場所に立ち、僕は遠隔でとれるようにセットしたカメラの前に立つ。
始めは直立で。
次は少し内股で…。
だんだんと自分が高揚していくのが分かる…だっていつもの僕でいる必要ないし。
腰をくねらせたり、頭をさすってみたり、乳首をいじってみたり。
生地が擦れるたびに快感回路が小さな爆発を起こす。
僕は気がつくとちんグリ返しの姿でペニスを扱いていた。
…生地がペニスに張り付く…あああん、気持ちいいよ…。
ペニスをこする右手が止まらない…
僕人間やめる、気持ちイイイイ‼‼‼‼‼
ペニスは自分でも信じられないくらいに固く反り返る。
ああん、僕のペニクリ、こんなに大きくなちゃった。
ああああ、もうイク‼‼‼‼‼
あっっ…
僕の白い液は僕の顔面にかかっていた。
…なんて僕は変態なんだろう…??
でもこのゼンタイというものはとても気持ちが良い。