僕の変身願望③~僕の価値~
僕は精液と汗を拭きとり、ゼンタイを脱いでシャワーを浴びた。
シャワーを浴びる間も、先ほどの初めての感覚が忘れられず、僕のペニスそれに合わせるように反応する。
これをSNSにあげるとどうなるのかな…。
どうせ僕だってわからないしな。
名前だってfakeだし。
少し冷静になった頭で、自分がシャッターを切った写真を見る。
これ自分なのかなと考えてしまうほど、通常の自分からはかけ離れた人型の写真が写る。
これは僕じゃないし、僕であったとしても、僕は美しい…。
こんな僕がいるんだ…新しい世界を発見できた気がした。
腰をくねらせ振りむくような写真を1枚pickupした。
なんて投稿しようか…無難に「初めて着ました」くらいのシンプルなコメントにでもしておこうか。
そんなことを考えても仕方ない…だって僕のフォロワー、僕がフォローした後のフォローバックでついている人ばかりだし、20人くらいしかいないし、色んな性癖があるからきっと僕になんて反応しないだろうし…。
アップした。
あげたことに満足した僕は、1週間の溜まった家事をすることに。
洗濯、掃除はルンバにお任せして、トイレ掃除、ゴミ出しに買い出し、事務処理等など。
一息つくためにコーヒーを淹れ、スマホを手にする。
皆暇なのだろうか。
いいねが数十件、拡散もいくらか…コメントもいくつか
「美しいです」
「Nice」
「素晴らしいです。俺と一緒にプレイしませんか」
「尻がたまらん」
「構図がたまりません」
「いいゼンタイですね」
僕が男性であるとどれだけ認識しているのだろうか。
(ペニスと分かるような構図は投稿していないからどうとでも取れるのか)
こんなにも反響が来るものなのかと少し驚く、いや少しだけではない。
かなり驚く!!
僕の仮説は当たっていたのかもしれない。
顔を隠せば僕は性別を限りなく消せるんだ。
僕が感じたように、ペニスという存在も、ひょっとしたら通常の裸の男性のペニスとは異なる見方をされるのかもしれない。
そうすると僕は僕でない新しい僕を見つけられるかもしれないし、僕の中で悶々としていた「男性性への脱却」は実現できるのかもしれない。
僕は少し嬉しくなった。