僕の変身願望⑤〜僕の告白〜
お姉さんは僕の話を聞いてくれるだろうか。
この間みたいな、写真をあげたら返ってきたコメントではないコメントが欲しい。
きっと違うコメントをくれるはずだ。
「あの、話したいことがあって…。」
僕は乾いた喉に唾を飲み込む。
「何、あらたまって。」
お姉さんの表情は変わらないけれども、視線の先は僕の目だ。
「僕、昔からなんていうか…タイツが好きで。女性のタイツに魅了されて…。」
「ふむ。それで?それは極めて正常な告白だよね。」
「えーっと、もっと言えば、僕自身もタイツを履きたい気持ちがあって。でもどこかで否定していた自分がいて。ああいうのは、一部の人が嗜むものだと。…例えば…お姉さんみたいな…。」
僕はお姉さんから視線を逸らす。
「あははは。何それ、ウケるね。私は神か何かなの⁈ そういう性癖だって受け入れただけでしょう?おめでとう…同志よ。」
そう言って僕にビールを注ぐ。
「えーっと…アッサリなんですね。」
「アッサリも何もさ。タイツに包まれてタイツの幼虫になりたいとかさ、それが成長してタイツの繭から生まれたタイツ人間になりたいとか、クソ真面目考えている人間に言ってんだもん。私からしたら仲間がいて嬉しい意外に何があんの?」
「えっ…。」
「もしかして、幼気な少年に何か植え付けたのかしら?ああ、罪深い女だわ‼︎あははは。」
お姉さんはケタケタ笑っていた。
「それで、何を見せてくれるの?」
お姉さんは逸らした僕の目線を追跡し、僕を覗きこむ。
もう僕は見せるしかなかった。
「先日、初めて着てみたんです。とても…なんていうか、不思議な感じがして…僕は僕じゃなくなる気がしました…。」
僕の耳が次第に熱を帯びていくのが分かる。
「僕は僕じゃなくなる気がして…?」
お姉さんはずっとこちらを見つめている。
「僕はとても興奮しました…ッ。」
…僕はお姉さんにめちゃくちゃにされたい!
意気地なしの僕からは、そんな勇気ある発言は繰り出せなかった。
「可愛い…。」
僕のペニスはギンギンになっていた。
何となくお預けを食らっている僕は、勝手にお姉さんに首輪をつけられて、リードで引かれている気分になった。
そんな風に思えば思うほど、恥ずかしさと興奮が増していった。
「そろそろ時間だし、お会計しよっか。」
お姉さんは何事も無かったように視線を戻し、平常運転に。
「あ…はいっ。」
僕と僕のペニスは少し悲しい気持ちになり、縮こまってしまった。
…お姉さん、僕のことを遊んでいるのかな…。
少し不安になりながらお店を出た。