fetish hole

18禁の内容です。フェチズムやSMに関するものと心の内面にフォーカスした内容が多いです。

ランキング外

ある人に強烈に憧れて、その人に恋い焦がれた。

全てが完璧に作られた世界。

手の届かない存在。

 

そしてとある時に手を延ばせる瞬間が訪れた。

電話での紳士的な声、自分のことを欲している様子。

そして時は過ぎた。

 

その紳士は好きな人ができた。

それまでの様子とは打って変わって、その人にピュアにハマっていた。

それだけ人を愛せることは才能だ。

引き潮のような感覚になっていく自分がいた。

 

かわいい人

きれいな人

スタイルのいい人

若い人

 

いずれも私は該当しない。

 

また時は経過した。

その紳士は私が特別であることを言ってきた。

純粋に嬉しかったが、不安な事は結構あり、きっと冷やかしだと思った。
あるいは箸休め的な時間であろうと思った。

 

やはりそうだった。

ある時若い女性とSEXしたメッセージが送られてきた。

若くてきれいでスタイルがいい。

そういう女性を抱いたのだと。

「嫉妬するかい…!?」

 

嫉妬…!?

嫉妬なもんですか。

だって私はこの性癖を持ってから、より自覚をしてからというもの

表向きのランキングでは常にランキングの外にいるというのに。

 

そしてこういうマニアックな世界でも優劣が、序列があることを知る。

このレベルの、魅力的な人を自分は抱けるくらいの人間なんだぜ、そういう自分に声をかけてもらえて幸せだと思わないかい?

 

あからさまに、厳密にそのようなことを言われたわけではないが、そういう空気を毛穴から感じた。

一瞬このまま消えてしまいそうな絶望感に苛まれるが、落ち着いて自分に言い聞かす。
ベクトルが違うのだと。

この世界に限った事ではない。
表向きの世界もそうだ。

容姿、表向きな肩書き、資本。

そういうものに惹かれる人もいる。

 

表向きは優しく、しかしながら何とも言えないアンコンシャスバイアスを感じる。
それを私が丁寧にお伝えする必要もない。

その人と私の住んでいる世界が違うのだ。

ああ、いっそうのこと、宇宙の藻屑にでもなって消えてなくなってしまいたい。
その程度の絶望感は常にある。
きれいで美しい話ではない。

 

私の憧れていた人は欲深いただのひとりの人間であった。
知りたくなかった、薄々は分かっていたとしても。
尊敬していたかった、演じていて欲しかった。
そういう気持ちが、一気に崩れ去っていってしまった。