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私の夢は小さなころから変わっていないの。
偉くなることでも、お金持ちになることでもなく、愛する人に呑み込まれてしまいたいという願望。
小さな頃、アニメで悪者がヒロインを洗脳して自分の意のままにしたり、あるいは藤子不二雄のミノタウロスの皿のように、その場の世界に相応しいかたちで食べられてしまったり、注文の多い料理店なんかもそうで…つまるところ、私は私の意思なんてどうでもよくて、そこにいる圧倒的支配の中に従属してしまいたいとい願望みたいなのがずっとあったの。
もうずいぶん昔の話で、当時私の中で衝撃を受けたのが翁さんのカニバリズムの小説。
実に生々しくも美しく、それでどれだけ夢に出てきた事か…。
私は自立も自律もしているように見られてしまうけれども、そんな様相なんてどうでもいいの。私は誰かによって、デザインされて、誰かの支配を受けて、誰かの思考や願望のままに活かされて、愛でられて、殺められて、食されてしまうの。
…って願望は、今の社会では許されはしないのでしょうけれども、戦乱や混沌とした情勢の社会だったらば、そんなことは世の人など特に関心も寄せずに実現されてしまうのでしょう。
私は私自身の意思なんて要らないし、私は誰かの作品として生きていたい。
他の人が惚れ惚れしてしまったり、ため息が出てしまうような作品として生きていたい。