fetish hole

18禁の内容です。フェチズムやSMに関するものと心の内面にフォーカスした内容が多いです。

染み込む細胞。

あの夜の事を思い出す。

3月のあの日。あの日にいつも以上に彼は私の中に入ってきた。

ノックをするとかそういう順番はなくて、息つく間もなく、窒息しそうになるくらい、彼は私に、私の身体中に入ってきた。

 

入ってきた感覚というのは、身体全身で、脳の中でももう全ての細胞が踊り狂うかの如く反応していて、それを言語化しようにも、全くできやしない。

それどころか、何も言わずにありったけの感情を私にぶつけられるようであった。

 

自分がやがて自分でなくなっていく感覚…。

捕食されてしまい、血管も筋肉も臓器も一緒に共有されているような強烈な感覚を抱いた。

 

彼は以前から「包んで自分のものにしておきたい」とニコニコしながら言っていた。その意味合いだなんて、私の中ではただゼンタイを身につけ、快楽を貪り合う行為、私のダッチワイフ化をしたいだけなのかと思っていた。

…もちろん、その人専用のダッチワイフになれるだなんて夢のようだと思っていた。

 

ああ、そんな生ぬるい話ではなかった。

俗世間やテクノロジー生命倫理やら、そういうのが許され、発展していくのであれば、私を殺めて、食し、亡骸は飾り、食べたものは自分の血肉にし、そして祈りを捧げてまた生き返らせてそばに置いておきたい…そのような強烈な感情を抱いているように感じた。

 

彼はそんな風には言ってないけれど、私はそんな風に受け止めてしまった。私が何しても、どんな事をしても、彼は私の対象であるし、もう私は彼の視線に知らぬ間に突き刺さってしまい、抜けきれないのである。

 

突き刺さる針は緩やかに私の身体を麻痺させ、快楽ダンスを披露する。脳が溶け切って無くなり、彼の刺激により笑顔になって恥じらいもなく、寧ろこんな風にあなたを愛しているんですと、不気味に雄叫び、身体をくねらせ、懇願する狂気さである。そんな祈りを捧げながら、私は彼の核エネルギー並の強烈な感情を受け、私は…私自身は消えてなくなり、彼のモノになったのである。

 

俺と死ぬまで一緒…ひとつになったからね