fetish hole

18禁の内容です。フェチズムやSMに関するものと心の内面にフォーカスした内容が多いです。

上司②

あの夜のおふざけのおかげで、私は野田さんが気になって仕方なくなっていた。でも酔っ払いの言動を真に受ける必要もない…そう言い聞かせていた。

 

とある時、違う職場へ交流を兼ねて、出張へ行くことになった。多分、10名ほど。よく飲みに誘ってくれた上司達と、お姉様何人かと私。初めて行く場所で、まだまだキャリアが浅い私はとても勉強になった。

そして懇親会。野田さんは私の目の前に座り、隣にいたベテランの作業者に絡んで、ふざけて腕にキスしたりしていた。いつものように、おバカな話をしたり、真面目な仕事の話をしたり…。

ほら、野田さんはそういう人だ。酔っ払えば男女問わずイチャつく人だよ。…何だか安心した。

 

宴もたけなわと、一次会が終わる。お姉様達は家のことがあるからとサヨナラした。二次会どうするか…っていう話を偉い人達がしていて、すぐには決まらないかなとお手洗いに行く。

トイレで野田さんから電話が入る。先にお店行くからお前も来いと。あー、早く行かなきゃと、まだダラダラしている集団から、

「すみません、また後で」

と、そそくさお店を出て駅前へ向かう。

 

「お待たせしました、すみません!」

「いいよー、じゃあ行こうか」

野田さんは駅へ向かう。歩いているうちに、他のメンバーから着信があった。

「あの、野田さん、なんかもう向こう別の行きつけへ行かれたそうですよ?向かいます?」

「遅いから…家帰らないと行けないし。もう俺ら帰ろうって伝えといて」

「(21時だもんな…電車で1時間くらいかかるし…)そうですね、分かりました」

帰る旨を伝え、2人で福山駅へ向かう。

 

ホームに着き、次の電車まで15分くらい待たないといけなかった。自販機で飲み物を買う。

野田さんはなんかいつもと違う雰囲気に思えた。酔っ払っていたけど。

「あのさ、俺結婚してんだよ」

「はい、存じ上げております」

「奥さんの事愛しているんだよ」

「ええ、それもよく存じ上げております」

「好きなんだよ、どうしたら…?」

「奥さん好きなのは素敵な事じゃないですか?」

「罪深いんだ…俺」

「そのくらい好きなんですね。うらやましい…」

「お前も好きなんだ、奥さんと同じくらい」

「…⁈」

「電車は止めて、タクシーで帰ろう?」

判断できなかったけれども、野田さんが優しく手を握って、一緒に歩いていった。